まだ英国で
アイルランド系イギリス人に
対する差別感情が強かった
1960年代に
その見えない壁を
圧倒的な音楽の力で
次々と壊していったのは
あのビートルズだった。
リンゴを除くジョン・ポール
ジョージがアイルランドの血を
引くミュージシャンで
1960年代の英国では
周知の事実だった。
60年代英国ポップシーンの
キング&クイーン
トム・ジョーンズと
ダスティー・スプリングフィールド
もアイルランド系イギリス人。
トム・ジョーンズは
自身がホストを務める
BBCの番組の中で
積極的に自身の
アイルランド・ルーツを
語っていた。
たまたまゲストで出た
ダスティー・スプリングフィールド
に対しても
トム:
「君もアイルランド系だよね?」
生番組で突然の質問に
答えに窮するダスティー:
「まあ親戚にはいるけど・・」
前置きが長くなったが
英国のMOJO誌で
最高点の5スターが付いた
ダスティー・スプリングフィールド
のソウル・カバー集を買ってみた。
尊敬する
アレサ・フランクリンや
マーヴィン・ゲイ
テンプテーションズ
アーサー・アレキサンダー
カーラ・トーマス
リー・ドーシー等
全24曲をカヴァーした
コンピレーション。
アイルランド系イギリス人
歌手の歌唱力は定評があり
その中でトップ・オブ・トップに
君臨するのがダスティー・
スプリングフィールド。
しかしダスティーの音程の
不安定さはファンの間では
よく知られている。
MOJO誌で5スターが付いた
このソウル・カバー集にしても
完璧な歌唱のものはまず無い。
アップテンポの曲では
勢いでゴーだが
バラード系を歌うとボロが
出てしまう。
ダスティー・スプリングフィールド
一世一代の名唱
「ルック・オブ・ラブ」でさえ
数か所で音程が狂う。
でもそれを補って余りある
特別な何かを聞き手に
伝えることができる歌手
それが
ダスティー・スプリングフィールド
なのだ。
DUSTY SPRINGFIELD/DUSTY SINGS SOUL (CD)
ACE:CDCHD1612 (2022 UK)