MARVIN GAYE/LIVE AT THE LONDON PALLADIUM マービン・ゲイのロンドン・ライブ(1976年ヨーロッパ・ツアー)

なぜか買いそびれていた
マーヴィン・ゲイの
ライブ・アット・
ザ・ロンドン・パラディウム
」を
手に入れた(1976年12月録音)。
当時のマービンは
離婚訴訟の真っ只中
オマケにドラッグと借金で
コンディションは最悪だったはず。
しかしマービンの
熱狂的ファンが大勢いる
ロンドンでのライブということで
マービンは最高のステージを
見せてくれる・・
まあそうなのだが
この数年前に発売された
マービン・ゲイ・ライブ」の
レッドゾーンぶっち切りの
元気なマーヴィンを知る者としては
ちょっと鼻薬効き過ぎの感あり。
とりあえずお盆ですから
デカダンでセクシー夭折の天才
マーヴィン・ゲイにハレルヤ!
LP2枚組でD面には
1977年の大ディスコ・ヒット
「黒い夜」(12分のスタジオ録音)が
収められている。

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MARVIN GAYE/LIVE AT THE LONDON PALLADIUM (2 LP SET)
MOTOWN : 5259ML2 (US 1977)

モータウン・レコード名曲誕生の影に天才ベース奏者ジェームス・ジェマーソンあり。動く指先のドアップ映像を見つけました!

スティービー・ワンダーの
初期のヒット曲
「愛するあの娘に」の
あの魅惑的なベースライン。
ジェームス・ジェマーソンが弾く
あのベースラインをパクッたのは
だれの曲だっけ?
調べているうちになんと
ジェームス・ジェマーソンの指先が
ドアップで写っているの映像を発見。
人差し指一本で弾いているという
という噂は本当だった!

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STEVIE WONDER/I WAS MADE TO LOVE HER (LP)
NIHON VICTOR :SWG7144 (JP 1967)

RIP PETER GREEN ピーター・グリーンが亡くなった

フリートウッド・マックの初代リーダー
キング・オブ・ブリティッシュ・
ブルース・ギタリスト
ピーター・グリーンが
7月25日73歳で亡くなった。
ピーター・グリーンは
「ブラック・マジック・
ウーマン1968全英37位」や
「アホウドリ1969全英1位」等で
明らかなようにソング・ライター
としても一流だった。
ピーター・グリーンが
在籍していた時代の
フリートウッド・マックの
アルバムについてはここを見てね。
RIP

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BOB DYLAN/ROUGH AND ROWDY WAYS ボブ・ディランの8年ぶり全曲書下ろしの新作

ボブ・ディラン8年ぶりの
全曲書下ろしの新作だが
この仲むつまじい
ムードはいったい
どうして生まれたんだろう。
こちらは長屋の偏屈じいさんに
通りでばったり出くわし
微笑みかけられたような気分なのだが。

10代のころから
ブルースやジャズの
熱心なファンだったディランは
ブルースマン達の録音テイクが
2テイク以内だったことに気づき
さっさと録音を済ませるやり方を
長年続けてきた。
録音に時間をかけないことから生じる
「揃っていない」音楽
言い換えるなら
「ズレ」のある音楽こそ
ディランの考える
最高の音楽の姿だったからだ。
(ビートルズや
ビーチボーイズには
この考え無かったよね)
そして
ディランの音楽が時代を超え
生命を持ち続けているのは
作品のレベル云々以上に
この録音方法から生まれる
緊張感や臨場感のようなものが
今も新鮮さを失っていないからだ。

話を最新アルバムに戻すと
ディランがこんなにも
バック・ミュージシャンに
寄り添ったアルバム作りを
するのは珍しい。
親和性というか
「共同作業」の匂いの強い
このアルバムが生まれたのは
なぜなんだろう?
この全曲書下ろしの新作を
録音するまでの8年間
ディランは
シナトラのカバー集を出したり
スタンダードのカバー集を出したりと
先達の偉業の再確認に
時間を使ってきた。
その一連の音楽活動が
ディランのアルバムの作り方に
何かしら変化を与えたような気がする。
そう思うのは
ニューヨーク・タイムズとの
最新インタビューで
好きなアーティストとして
エラ・フィッツジェラルド
オスカー・ピーターソン
ジミー・リード
ロバート・ジョンソン等を
挙げていたのだが
彼等に共通しているのは
自己のミュージシャン・シップに
対する絶対的な自信。
面倒くさく考えるディランも
78年かけてやっとその境地に
たどり着いたのかも。

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BOB DYLAN/ROUGH AND ROWDY WAYS (2 LP SET)
COLUMBIA : 19439780991 (US 2020)

RUFUS WAINWRIGHT/UNFOLLOW THE RULES ルファス・ウェインライトの新作

来週の水曜日
47歳の誕生日を迎える
ルファス・ウェインライト
ポップ・アルバムとしては
8年ぶりの新作が発売された。

ルファス・ウェインライトの
音楽の魅力を聞かれたら
僕はいくらでも挙げることが出来る。
最初に浮かぶのは
当たり前に聞こえるかもしれないが
ルファスの音楽は「唄尽くし」
だってこと。
「カンターレ尽くし」ともいえるね。
それを実現させているのは
圧倒的なルファスの声の力
なんだけれど
最近のルファスのステージを
見るたびにそれを強く感じる。

次に挙げたいのは
メロディーの豊かさ。
シューベルトを筆頭に
ティーネイジャーのころから
聞き続けているクラシックの
多彩な旋律。
そして
ケイト・マッガリグル(母)や
ラウドン・ウェインライト(父)から
受け継いだフォーク音楽の素朴な旋律。
この両方が
ルファス・ウェインライトの
体の中で自然に混ざり合っている。

最後はやはり
ソングライターのキモ
歌詞だよね。
一流のソングライターと呼ばれる
人達には2タイプ居ると思う。
ひとつは
コール・ポーターや
ランディ・ニューマンのように
自分を取り巻く世界と
全く接点のない別世界の出来事を
ある時は悲しくも可笑しく
またある時は甘美で辛らつに
プロに徹して書き上げるタイプ。
彼らの場合
時代を超えた作品の完成を
目指すあまり
書き上げた曲の些細な部分
たとえば
英語の不定冠詞や定冠詞
(AとかTHE)の使い方に
一日中頭を悩ませたりする。
残るもう1つは
ジョニ・ミッチェルや
ボブ・ディランのように
最高の知性に裏打ちされた
世界の中心は「私」であり
「俺」であるというタイプ。
彼らの場合現時点での
自分にとってのリアルが全てで
その曲が後年どんな意味を
持つかなど眼中になし。
そしてこの2つのタイプを
同時に味わえるのが
ルファス・ウェインライトなのだ。

PS
CD(デラックス版)には
「ピースフル・アフタヌーン」と
「ヘイトレッド」の
フランス語ヴァージョンが
ボーナスとして入ってますよ。

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RUFUS WAINWRIGHT.UNFOLLOW THE RULES (2 LP SET)
BMG :4050538512632 (EU 2020)




RON SEXSMITH/HERMITAGE ロン・セックススミスの新作「エルミタージュ」の魅力

意外かもしれないが
コール・ポーターは35歳ころまで
ヒット曲に恵まれなかった。
彼は当時売れっ子作曲者だった
リチャード・ロジャースや
アーヴィング・バーリンや
ジョージ・ガーシュインの
楽曲を研究しヒット曲の条件は
3人の共通ルーツである
「ユダヤ的メロディー」を
曲にそっと忍ばせることだと気づく。
時は移り次世代ユダヤ人作曲家たち
リーバー&ストラーや
フィル・スペクター等が
活躍する時代になっても
そのユダヤ的作曲手法は継承された。

キャロル・キングも
そんなユダヤ人作曲者達の伝統に
のっとりヒット曲を量産する
1960年代を代表する
「プロの作曲家」だった。
しかし1970年前後
ジェイムス・テイラーなど
作為を感じさせない
「自然派」とでも呼べそうな
シンガーソングライター達の
台頭によりプロのプロたる仕事が
通用しなくなったと見るや
彼女は「自然派」へシフト。
そして
自ら歌い発表したアルバムが
あの歴史的な大ヒット
つづれ織り1971年」だった。
(現在まで売上2500万枚)

「自然派」転向とはいっても
長年つちかったプロの作曲家魂は
「つづれ織り」でも
決して捨てなかった
キャロル・キング。
「つづれ織り」の後のアルバム
ミュージック」は気合が入りすぎ
プロ魂が目に付くアルバムだった。
しかしそこは真のプロフェッショナル
次のアルバム
ライムズ&リーズンズ」は
プロ魂と自然派のバランスが絶妙。
特にLP盤でいうとB面の
のびやかな流れは感動もの。

長い前置きになってしまったが
ロン・セックススミスの新作
エルミタージュ」は
彼にとっての
「ライムズ&リーズンズ」なのだと思う。
ポール・マッカートニーやニルソンを
アイドルと呼ぶロンは
長年「創意工夫を凝らした
良質のポップチューン」を書くことを
目指してきた。
しかし新作はそこから解放され
いい意味で自然な心の流れに
身を任せたような作風なのだ。
それはたぶん
「ライムズ&リーズンズ」を
録音した時のキャロル・キングの
気持ちにとても近い気がする。

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RON SEXSMITH/HERMITAGE (LP)
COOKING VINYL: COOKLP 759 (EU 2020)

ELLA FITZGERALD SINGS THE COLE PORTER SONG BOOK エラ・フィッツジェラルドのコール・ポーター楽曲集(後編)

(後編)

エラの唄うコール・ポーター傑作集
No.1とNo.2のLPは
東京芝浦電気(後の東芝)から
アメリカとほぼ同時期に発売された
(昭和31年1956年)。
不思議なのは
ジャズの名門ヴァーヴのロゴと
東芝のクラシック専用の
エンジェル・レコードのロゴが
アルバムのジャケットに一緒に
印刷されていること。
ブルーノートとドイツグラモフォンの
ロゴが一緒に並んだような違和感?

調べてみたら
このアルバムが出た
当時の東京芝浦電気(後の東芝)は
本業の電気製品の売り上げが
なんと年商400億円を
超えていたという。
その勢いを借りて昭和30年から
レコード制作に乗り出した
東京芝浦電気だったが
洋楽はすべてエンジェル・レコードの
ロゴを使い発売されていた。
会社名が東芝音楽工業に変わり
洋楽ポピュラー専門のロゴ
「オデオン」を使い始めるのは
ビートルズ以降。

「エラの唄うコール・ポーター傑作集」
は当時1860円で発売されており
当時の大卒の初任給の平均が
5700円だったことを考えると
アルバム1枚が5万円くらいの
感じだったはず。
一体どんな人たちがこのアルバムを
買ったんだろう。

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エラの唄うコール・ポーター傑作集No.1&2(LP)
TOKYO SHIBAURA ELECTRIC CO.,LTD (JP 1956)