ミュージシャンなら誰でも
アーティストと呼ばれるように
なった今の時代
デペッシュ・モードは一昔前の
真の意味でのアーティスト
かもしれない。
そんな思いを確信へと変えてくれる
デペッシュ・モード6年ぶりの
新作の登場だ。
まず
「残響」の色調や時間にまで
心を砕いた完璧な
サウンド・プロダクションに
舌を巻く。
ビートルズ特にジョン・レノンが
A DAY IN THE LIFEの
あのエンディングの残響時間を
どうするか悩みに悩んだのと
同様の作業を
デペッシュ・モードは
デビューした1981年から
ずっと続けてきた。
この姿勢が彼らを
アーティストと呼びたくなる
理由のひとつだ。
デビュー以来のメンバー
アンディ・フレッチャーが
このアルバム制作中に
亡くなり(昨年5月)
新作の出来が心配だったが
それは取り越し苦労だった。
アンディには申し訳ないが
マーティンとデイブの
2人体制になったことにより
作品の純度や先鋭さは
よりアップしたと思う。
その分デペッシュ・モードを
初めて耳にする人たちは
「ちょっとついていけない」
と発するはず。
でもその一言こそは
デペッシュ・モードを
長年愛してきたファンの
優越感を満たすものに
他ならない。
DEPECHE MODE/MEMENTO MORI (2 LP SET)
COLUMBIA:19658784211 (EU 2023)