1973年の1月
ジェイムス・テイラー日本最終公演が
終わったあと渋谷公会堂の前で
細野さんと初めてのソロアルバムの話をした。
狭山の自宅に録音卓(日本初の16チャンネル)を
持ち込んでもうすぐ録音始めるんだって
教えてくれた。
僕「今回ジェイムス・テイラーは何回見たんですか?」
細野「今日だけだよ」
僕「えーーーーーーー」
「はっぴいえんど」の他の仲間や
加藤和彦さんらが連日新宿厚生年金会館の
最前列近くに陣取っているのを
何度か見かけた。
ジェームス・テイラー日本最大のファンを
自認する細野さんがたった一回だなんて。
でもその疑問は「ホソノハウス」を
聞いてすべて解決したのだった。
***
「はっぴいえんど」は温度とか湿気を
意識させるバンドだ。
よく言われる「季節」というのは大雑把すぎる気がする。
「ホソノハウス」は寒さ(逆接として暖かさも)が音楽の核だ。
それ以降のアルバム(YMO含)は
暖かい、か、暑い、または温度ナシだった。
この最新アルバムは暑い、そして蒸す。
そこが
「トロピカル・ダンディー」と似ている。
トロピカル・ダンディーのときは
カリブ海のふりして東南アジア(亜熱帯日本含)だった。
今回もボサノバ(ホソノ場 HOSONOVA)なんてどこにも無い。
NOを抜いて細そば?
ブランドソバ屋日本橋「砂場」をもじった「細野場」かな。
(下の写真参照、砂場じゃないけど)。
録音は去年なのに
「がんばろう日本」をはるか彼方に
押しやってしまう歌が入っている。
やはり細野さんは仙人。
***
今回のアルバム
ピーターパンで聞くと最高です。
なんたって
ピーターパンのオーディオ設定を
指南してくださったのは
細野さんのクラウン・レコード時代
(トロピカル・ダンディー、泰安洋行など)の
レコーディング・エンジニア
田中信一さんですから。
VICTOR ENTERTAINMENT : VICL 63777 (JP 2011)