コロナ禍のアメリカで
医療関係のテレビ特番の
バックで流れ
他者に対する思いやりを促す
テーマソングのようになっている
「リーン・オン・ミー」。
これはビル・ウィザーズ1972年の
全米ナンバーワン・ソングだ。
皮肉なことにビル・ウィザーズ本人は
心臓疾患の合併症で
今年の3月に亡くなってしまった。
そんなこんなで
最近9枚のアルバムが再発された。
その中から
今日ご紹介するこのライブ盤は
「リーン・オン・ミー」や
「黒い太陽」等が大ヒットした直後の
NYカーネギー・ホールでの演奏を
収録したもの(1972年)。
ビル・ウィザーズにとって
初めての全国ツアーのせいか
NYカーネギー・ホール満員の
ファンを前にスタート直後は
ぎこちないが
それも徐々にこなれ
最後は新曲「ハーレム」の
大合唱で大団円を迎える。
当時1970年から
1973年にかけては
マーヴィン・ゲイや
カーティス・メイフィールドや
ダニー・ハザウェイ等
「ニューソウル」の全盛時代。
ビル・ウィザーズも
その流れの中にあったが
彼の音楽には
ジェイムス・テイラーや
キャロルキング等の
プライベートな心象風景を唄う
シンガー・ソング・ライターの
テイストも混じっている。
ビル・ウィザーズの魅力は
何といっても自作曲の素晴らしさだが
それ以上に190センチを
優に超える巨体から発せられる
聞いたとたんすぐそれと分かる
ユニークな声だろう。
このビル・ウィザーズの声の魅力
(本当は魔力と言いたい)こそが
時代や人種を超え世界中で
愛され続けている理由だと思う。
BILL WITHERS/LIVE AT CARNEGIE HALL (2 LP SET)
SUSSEX :MUVLP432 (2020 EU)