ノーマン・シーフが撮ったジョニ・ミッチェルの写真集 THE JONI MITCHELL SESSIONS BY NORMAN SEEFF

1960年代は
ジム・マーシャルと
ヘンリー・ディルツと
ガイ・ウェブスターが
3大ロック写真家だった。
彼らが撮った数々の傑作写真には
今ではアイコン化したものが多い。
(ドアーズのファーストや
CSN&Yのデジャヴー)
2人ともライフ誌とかタイム誌とか
アメリカ歴代の名カメラマン達の
系譜に属していたので
写真自体にロックの躍動感を
注ぎ込むというよりは
どちらかというと
ミュージシャンの人物像を
あぶり出すことに
長けていたように思う。

時代が変わり
70年代から80年代になると
アニー・リヴォビッツと
ノーマン・シーフが
トップカメラマンに躍り出る。
ジム・マーシャル
ヘンリー・ディルツ系列だった
アニー・リヴォビッツに対し
オランダからアメリカへ移り住んだ
ノーマン・シーフの
異邦人としての特異性は
当時際立っていた。
ロックファンに
ノーマン・シーフの写真は
特別だと最初に思わせたのは
ザ・バンドの
「ステージ・フライト」
(1970年)の
セピア色のポスターだろう。
ウッドストックのログ・ハウスの
窓ガラスに暗幕を張りめぐらし
独特のカメラ絞りで撮影された
写真はロック新時代の幕開けを
告げるものだった。
そして
プロカメラマンにはタブーとされた
「ストロボの傘」の映りこみが
意図的に写真のド真ん中に
残されていてそれ以来
その「ストロボの傘」は
ノーマン・シーフの
サイン代わりになった。

ありそうでなかった
ノーマン・シーフが撮った
ジョニ・ミッチェル写真集
昨年の末発売された。
ノーマン・シーフが
ジョニ・ミッチェルを
撮り始めたのは1974年の
「コート&スパーク」から。
以後ノーマン・シーフは
ジョニのほとんどの写真を撮っている。
2人の信頼関係が深まるにつれ
ジョニのノーマン・シーフに
見せる表情や仕草は
恋人に見せるそれに近づいていくのが
この写真集からよくわかる。
ノーマン・シーフとの
フォト・セッションでは
ジョニは全裸にもなるし
加齢による皺も隠さない。
(「ドンファンの
レックレス・ドーター」に
小さな陰毛付写真あり)
ちょっとお高いけれど
ジョニ・ミッチェル・ファン
必携の写真集。

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NORMAN SEEFF/THE JONI MTCHELL SESSIONS
INSIGHT EDITION :ISBN978-1-68383-627-8 (2018 US)
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