アレサ・フランクリンの
アトランティック・レコード時代の
アルバム「アレサ・ナウ」
を手にいれた。
1968年6月14日に出た
アメリカ初回プレスLP盤で
音圧も最高。
このアルバムを録音したとき
アレサはまだ25歳だった。
ローリング・ストーン誌が
選ぶ偉大なシンガー第1位に輝く
アレサだけれど
「アレサ・ナウ」は
アレサのアルバムの中で
トップ5に入る傑作。
アルバムのA面2曲目には
「小さな願い」が収められている。
バート・バカラック&
ハル・デヴィッドが
1967年に
ディオンヌ・ワーウィック
のために書いた名曲。
ディオンヌ・ワーウィックの
オリジナル・ヴァージョンは
洗練された働く黒人女性の
つつましやかな愛を
表現したものだった。
でもディオンヌ・ヴァージョンが
発売された翌年
1968年4月4日に
キング牧師が暗殺されると
アメリカ黒人シンガー達の
表現は一気に先鋭化した。
アレサとても例外ではなかった。
キング牧師が暗殺された
1週間後に録音された
このアルバムのA面1曲目
「シンク」を聞けばそれは明らか。
(映画ブルース・ブラザースで
アレサ自身が歌ってたよね)
でも「小さな願い」は
「シンク」とはちょっと違っていた。
プロデューサー
ジェリー・ウェクスラーを
はじめとするアトランティックの
スタッフ達は
20年後30年後にも愛される
曲作りにこだわった。
そのスタッフたちの「小さな願い」は
かなえられたと思う。
なぜならアレサの「小さな願い」は
何万曲とある
「小さな願い」ヴァージョンの中で
間違いなくトップだから。
(バート・バカラック自身も
そう言ってるしね)
アレサの歌いっぷりは
最高に抑えたものなのに
魂の縦横無尽ぶりは
シャウト物の百万倍。
このLP盤の裏面に
ジャック・スプリンガーの
解説文が載っているのだが
「小さな願い」の箇所で
上手いことを言っている。
『想像力豊かな即興演奏が
火花を散らす歌唱
もしアレサに
キング・カーティスのサックスを
持たせたらもっとも危険』
ARETHA FRANKLIN/ARETHA NOW (LP)
ATRANTIC RECORDING CORPORATION : SD 8186 (US 1968)