アルバム一枚そっくり「雪」がテーマ。
一曲目は「スノーフレーク(一片の雪)」。
人間なら誰でも、いつか、どこかで
「一片の雪」が落ちてくるサマを
何時間も追い続けた記憶があるはず。
ほとんどの人はその幼少期だったろうけれど、
ケイト・ブッシュは50歳を超えた今も
「一片の雪」を追い続けていられる人。
皮肉ではなく
その贅沢な心の道楽に感動してしまった。
***
「エアリアル」以前のサウンドは
テクノロジーの匂いの強いゴシック・ロック、
今は「フリル付の音楽はもう止めたのよ」って感じだ。
イントロがあってサビがあってという曲作りも止めてしまった。
メロディ・モチーフ(またはフレーズ)が延々と続いていくだけ。
だから最初は「何このバラケ具合」と感じるかもしれない。
でも10回繰り返し聞いたあたりから
「何このバラケ具合」は
見事に織り込まれたペルシャ絨毯のごとき艶姿を見せる。
KATE BUSH/50 WORDS FOR SNOW (CD)
FISH PEOPLE : TOCP 71202 (JP 2011)