BOB DYLAN/ROUGH AND ROWDY WAYS ボブ・ディランの8年ぶり全曲書下ろしの新作

ボブ・ディラン8年ぶりの
全曲書下ろしの新作だが
この仲むつまじい
ムードはいったい
どうして生まれたんだろう。
こちらは長屋の偏屈じいさんに
通りでばったり出くわし
微笑みかけられたような気分なのだが。

10代のころから
ブルースやジャズの
熱心なファンだったディランは
ブルースマン達の録音テイクが
2テイク以内だったことに気づき
さっさと録音を済ませるやり方を
長年続けてきた。
録音に時間をかけないことから生じる
「揃っていない」音楽
言い換えるなら
「ズレ」のある音楽こそ
ディランの考える
最高の音楽の姿だったからだ。
(ビートルズや
ビーチボーイズには
この考え無かったよね)
そして
ディランの音楽が時代を超え
生命を持ち続けているのは
作品のレベル云々以上に
この録音方法から生まれる
緊張感や臨場感のようなものが
今も新鮮さを失っていないからだ。

話を最新アルバムに戻すと
ディランがこんなにも
バック・ミュージシャンに
寄り添ったアルバム作りを
するのは珍しい。
親和性というか
「共同作業」の匂いの強い
このアルバムが生まれたのは
なぜなんだろう?
この全曲書下ろしの新作を
録音するまでの8年間
ディランは
シナトラのカバー集を出したり
スタンダードのカバー集を出したりと
先達の偉業の再確認に
時間を使ってきた。
その一連の音楽活動が
ディランのアルバムの作り方に
何かしら変化を与えたような気がする。
そう思うのは
ニューヨーク・タイムズとの
最新インタビューで
好きなアーティストとして
エラ・フィッツジェラルド
オスカー・ピーターソン
ジミー・リード
ロバート・ジョンソン等を
挙げていたのだが
彼等に共通しているのは
自己のミュージシャン・シップに
対する絶対的な自信。
面倒くさく考えるディランも
78年かけてやっとその境地に
たどり着いたのかも。

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BOB DYLAN/ROUGH AND ROWDY WAYS (2 LP SET)
COLUMBIA : 19439780991 (US 2020)