ブリティッシュ・ロックの黄金期と
言われる1960年代中期から
1970年代末期に活躍した
レコーディング・エンジニアの中で
「音楽をクリエイトしたエンジニア」
と呼べるのは次の7人だろう。
ビートルズのジェフ・エマーリック
ジミ・ヘンのエディー・クレイマー
ピストルズのビル・プライス
イエスのエディ・オファード
クイーンのロイ・トーマス・ベイカー
ボウイのケン・スコット
ストーンズのグリン・ジョンズ。
そしてこの7人の中で
トップ・オブ・トップは
誰かと尋ねられたら僕は迷わず
グリン・ジョンズと答える。
そのグリン・ジョンズだが
恐ろしいほどの仕事量をこなし
しかもそのほとんどが
ロックの歴史に名を残すアルバム
ばかり。
グリン・ジョンズが
かかわった有名なアルバムを
ちょっと挙げると
「デビュー・アルバム」から
「ブラック&ブルー」までの
全ストーンズのアルバム
フーの「フーズ・ネクスト」
レッド・ツェッペリンの
「ファースト」
エリック・クラプトンの
「スロー・ハンド」
イーグルスの「ファースト」
ビートルズの「ゲット・バック」
スティーブ・ミラーの「セイラー」
ザ・バンドの
「ステージ・フライト」
フェイセズの「馬の耳に念仏」
レオン・ラッセルの「ファースト」
ETC。
グリン・ジョンズの伝記本
「サウンド・マン」は
露悪的な音楽業界裏話ものとは
一線を期す面白くかつ読み応えある
一冊だ。
特に
ストーンズのメンバーとは
デビュー前から友達だったので
飛び出す裏話のレベルが半端じゃない。
この伝記を最後まで読んで感じるのは
レコーディング現場が
どんなに悲惨だったとしても
ミュージシャン=クライアントの
原則を守りアルバムを
最後の完成形まできっちり仕上げる
プロのプライドを
グリン・ジョーンズは常に
持っていたということ。
グリン・ジョンズが
いまも現役でいられるのは
そのせいだと思う。
最後に山のように登場する
エピソードの中から
とっておきを御紹介するね。
「ゲット・バック」の録音を
(後のレット・イット・ビー)
グリン・ジョンズに頼もうと思った
ポール・マッカーニーが
電話かけてきた時のこと
「あのおポール・マッカーニー
だけれど」
「ミック(ジャガー)冗談はやめて」
速攻受話器を置いたんだって。