レナード・コーエンは
2016年の
「ユー・ウォント・
イット・ダーカー」の制作中に
次のアルバムの準備を始めていた
それがこの新作
「サンクス・フォー・ザ・ダンス」。
サウンド作りを始める前に
レナード・コーエンは
メトロノームのリズムを
聞きながら
ボーカル(語り)部分を
録音したという。
そのテープを携え
息子のアダム・コーエンは
約2年かけ
ロサンジェルス
ベルリン
モントリオールの3都市をめぐり
様々なミュージシャンの協力を得て
この新作を完成させた。
その協力者はというと
ダニエル・ラノアやベック
ジェニファー・ウォーンズや
アーケイド・ファイアーや
ザ・ナショナルのメンバーなど
レナードの音楽を愛する
ミュージシャン達。
この新作
レナードのこれまでの作品同様
「聖」と「性」をベースにした
情景や状況が目の前に浮かぶ曲が
収められている。
しかしそのほとんどは
「ハレルヤ」のように
重層的な意味をもった曲が多く
手ごわい。
タイトル曲
「サンクス・フォー・ザ・ダンス」は
レナードの辞世の句に違いない。
「サンクス・フォー・ザ・ダンス」
踊ってくれてありがとう
疲れてしまったようで
申しわけない
まだ夜は始まったばかり
踊ってくれてありがとう
さあ元気を出して
ワン・トゥ・スリー
ワン・トゥ・スリー
ワン
貴方の髪にはバラの花
両肩が大きく開いたその服を
貴方はずっと着ていた
さあ音楽の音を上げ
ワインを注ぎ
表面にとどまっていよう
表面で結構
これ以上深く入る必要はない
素晴らしかった
速かった
私たちは最初で最後だった
快楽の寺院の前で並んでいたとき
でも私は実に緑で
青は実に青だった
私は実に私で
あなたは実にあなただった
そしてその危機は軽かった
羽毛のごとく
踊ってくれてありがとう
苦しかった
素晴らしかった
楽しかった
たくさん踊ってくれてありがとう
ワン・トゥ・スリー
ワン・トゥ・スリー
ワン
LEONARD COHEN/THANKS FOR THE DANCE (LP)
SONY:19075978661 (US 2019)