音楽の求道者ライ・クーダー
6年ぶりの新作。
今回も自作曲は3曲だけで
残りは熱心な音楽ファンでも
聞いたことのない
古いレアな楽曲ばかり。
ユーチューブのインタビューでも
答えているように
ライ・クーダー自身
つい最近見つけた楽曲も
多いのだという。
だからだろうか
演奏しているときの
ライ・クーダーの表情は
新鮮な名曲に出会えた
喜びにあふれている。
1970年にデビューした時から
変わらぬ遺跡発掘のような
ライ・クーダーの
曲選びスタイルは僕らに
世界にはこんな素敵な音楽が
溢れているんだよって
語りかける。
ライ・クーダーがいなければ
日本でダン・ペンのライブが
開かれることはなかっただろうし
(ダーク・エンド・オブ・ストリート)
仙台のロック・カフェのマスターが
2度もキューバに行くことは
なかったはず(ブエナ・ビスタの
新作映画は7月日本公開)。
新作は名盤誕生の予感を漂わせる
ゴスペルグループ
ピルグリム・トラベラーズの
「ストレート・ストリート」でスタート
表情に富んだライの歌声がいい。
このあともオオ!と思わせる曲が
続くのだが
ライ・クーダーの長年のファンなら
ブラスバンド用の楽曲を
たくさん書いてきた
アルフレッド・リードの
「ユー・マスト・アンロード」で
涙腺のねじが緩むはず。
それにしてもだ
ミスター・ワーナーブラザーズだと
思われていたライ・クーダーが
ワーナーを離れる時代。
ギブソンの倒産に
象徴されるようにエレキギターが
ロックの主役だった時代は
終わろうとしているのかも。
PS
下のユーチューブだけれど
ライ・クーダーの左手の「ガラス」の
ボトルネックに注目あれ。
ライは金属は嫌いらしく
徹底したガラス派。
1970年に「シングアウト」誌の
インタビューでガラスの良さを
力説してた記憶が。
だが
本当に言いたかったのは
そんなことじゃない。
ライの薬指に当然あるはずの
マリッジリングが消えてる!
驚いたことに49年連れ添った
スーザン・タイトルマンと
昨年離婚したらしい
わからないもんだね。
ドラムスのフォアキン・クーダーが
まだおなかに居るとき
ライとスーザンに会ったことが
あるのでなんか複雑。
ライの時に意固地とも思えるくらいの
音楽への情熱はスーザンが
支えていた部分が大きかったと
思っているので。
薬指に残ったマリッジリングの
食い込み跡が生々しい。
以上文春デジタルでした。
RY COODER/THE PRODIGAL SON (LP)
FANTASY PERRO VERDE : FAN00236 (2018 US)