アントニー・ベガティ45歳
使い古された枕詞
ワン・アンド・オンリーが
これほどピッタリくる
ミュージシャンもいない。
4年ぶりの新作アルバムが出た。
女性として生きると決めた以上
名前も女っぽくしなくちゃてことで
アントニーからアノーニへ改名。
音楽性もこれまでの
牧歌的な歌ものから
ビョークのように
最先端のサウンドと歌とが
拮抗しあうヘヴィなものへ変化。
それは並みのアーティストに
とっては危険な賭け
でもアノーニのあの「声」は
次々と現れる難関を
いとも簡単にクリアしていく。
女性名に改名したにもかかわらず
アノーニの音楽はアントニー時代より
逞しくというかマスキュラーに
なってる気がする。
それはきっとこのアルバムが
アノーニを取り巻く実社会と
より強くコミットしているからだと
思う。
日本盤の歌詞対訳がうれしい。
2つの全く違った事柄や出来事が
あるとして
どちらもとんでもない悲劇なのに
2つが巧妙に絡みあった瞬間
喜劇に変わるみたいな歌詞作りは
欧米のミュージシャンの
得意とするところ。
ナオミ・キャンベルを
プロモ・ヴィデオ使った
「ドローン・ボム・ミーMー1」は
アフガニスタンでドローン爆弾で
殺された少女(実話)と
今晩男から誘ってもらえるかしらと
子宮を熱くする女を
メルトダウンした傑作。
「ウォッチ・ミーMー3」に
出てくるダディは
「父と子と精霊の
御名において」の父(神)と
実の父親のダブルミーニング、
アノーニにとって実の父親と
カソリックの存在は
永遠に自分を守り
かつ縛りつけるものなのかもしれない。
歌詞のラストで飛び出す
「児童性愛者」の一行が強烈。