BETH ORTON/KIDSTICKS ベス・オートン4年ぶりの新作

長すぎて持て余し気味の手足を
さらに強調するような
袖の短かなTシャツと
細いジーンズがトレードマークの
ベス・オートン(英国生まれ)
初夏にぴったりの新作アルバム

元々べス・オートンは
歌とギター1本で勝負の
フォーク・シンガーだったが
ケミカル・ブラザースが
デジタル・ビート処理した
トレイラー・パーク
(1996年)でスターになった。

デビューしたての頃は
ヘタウマ・ブームも手伝い
ベス・オートンの
歌の下手さは
だれも気にしなかった。
もっと正確にいうと
ベス・オートンは
アイドルと
シンガー・ソングライターの
中間にいたので
間違ったり音程不安定は
「可愛い」だった。

デビューから20年
歌は相変わらず下手。
英国には
マリアンヌ・フェイスフルや
ジェーン・バーキンのように
アイドルから妖婦に変貌
という伝統芸があるが
ベス・オートンは45歳になっても
現役アイドル然としている。

べス・オートンが
4年前に出した
「シュガリング・シーズン」は
正統派フォーク・アルバムだったが
新作は「トレイラー・パーク」を
思い出させるエレクトリック路線。
本人いわく
「やっぱりエレクトリックな
ループ・トラックのほうが
私の声に合ってる気がするの」

新作はベス・オートン初めての
セルフ・プロデュース作品。
「トレイラー・パーク」は
あんたら勝手にやっといてよ風の
なげやりさが魅力だったが
新作は自分の声がサウンドの
どこにどう配置され
聞き手にどう聞こえるのかまで
べス・オートン自身が
完璧にコントロールしている。

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BETH ORTON/KIDSTICKS (LP)
ANTI:045778742615 (2016 US)